一年の約束 〜セルジオからマリアへ その11

 

 

 大好きなマリアへ


 暑い!
 …と一番最初に訴えたくなる程度に、国境は暑いです。
 最初はそうでもないな、と思っていた日ざしも日に日に厳しくなるような気がするし、熱気もこもるし。
 喉が乾くので、ひたすら水を飲む毎日です。

 

 誕生日プレゼント、気に入ってもらえたようでよかった。
 セステアに着くまでに枯れないかどうか、それだけがとても心配だったのだけれど。
 枯れなかったどころか、ちゃんと花までつけていたんだね。僕も嬉しいです。
 「冬の薔薇」の花びらも、気に入ってもらえて嬉しかった。
 あれでマリアと一緒に「冬の薔薇」を観たことになるのか、と僕はマリアからの手紙を読んで始めて気がつきました。
 何となく、マリアも観たがっていたようだからせめて花びらだけでも、と送っただけだったんだけど。
 マリアの素敵な解釈で、格好がつきました。どうもありがとう。

 

 そして、誕生日に街へ出るだろうと思った僕の予想は、まるっきり外れていたんだね。
 まさかそんなに大変なことを沢山やったとは思いませんでした。よく無事だったね、マリア。そればかりは父上の言う通り、「誕生日にこれだけ自分から疲れることをしようとする人も珍しい」と思います。
 魔術を使うマリアは何となく想像ができるけど、剣を持って振り回しているマリアは想像が出来ません。
 マリアの細い腕で、剣なんて振り回すのは無理だよ。第一、そんなことさせたくないから僕が修行しているわけだし。
 でも正直、剣を持っているところがあまりに想像出来ないので、一度見てみたいのも確かです。帰ったら、持っているところだけ見せてね。振り回さなくていいから。
 乗馬も。きっとマリアは好きにしてしまうんだろうな、と思っていたけど本当に好きにしたんだね。
 危ないから早駆けは勧められないけど、少しくらいならいいかな…。
 僕が帰ったら、マリアも馬を一頭持ってみる?
 でもやっぱり僕は、僕と一緒に馬に乗ってもらうのがいいと思うけど。それは僕の我儘だけどね。
 とにかく、マリアにとって充実した誕生日であったようで、良かった。僕のことを色々考えていてくれたのも嬉しかったよ。ありがとう。 

 

 では。

 
 

暑い暑い国境の砦で茹っている セルジオ