リングピロー格闘記

 

その4 仕上げ仕上げ、合体!…そしておまけ。


 クッションとバスケットが形になったところで、いよいよ合体です。
 おデブのクッションをぎゅうぎゅうとバスケットに乗せ、白くて太いリボンで止めます。
 このリボンはクッションの周りに使ったものとは別で、あらかじめ切っておきました。切っても良さそうだったので。
 クッション用リボンは何故かアイロンをかけてもかけてもまっすぐになってくれないというぐれ屋さんだったのですが、この白いリボンはアイロンをかけるとぴんとのびてくれました。気持ちよいです。
 クッションを二分するようにぐるっとリボンを回しがけ、慎重に位置を決めてまち針で止めます。ここで不公平があってはなりません。
 透明な糸で底をちくちくと縫い、ひとまず安心。

 その次はいよいよリングを置く台を作ります。
 上に丸い穴がついた大きめの金の十字架が2つ。まあどうせ作業する時に曇っちゃうかもしれないけどさ、気は心よ、というわけでまず十字架を貴金属用のクロスで磨きます。
 白いリボンで開かれたクッションの左右それぞれ真ん中にくるように、これまた慎重に場所をきめます。
 場所が決まったら上の穴にまち針を刺して固定。まち針大活躍。
 お花が咲いたようで可愛かったので写真も撮ってみました。


 まち針で固定している間に、十字架の真ん中を透明な糸で縫い止めます。仕上げはボタン付けの要領で、クッションと十字架の間をくるくるくるっと3回ほど回してから玉留め。
 出来たらまち針をはずし、クッションの周りに使った細い金のリボンを1本ずつ十字架上部の穴に通します。
 すんなり入ってくれそうになかったので糸通し使用。…神崎が不器用なだけかもしれませんが、このリボン通すの、絶対糸通し要ります…。チャコペン共々「必要なもの」に書いておいた方がいいような気がします。
 リボンが通ったら両方の端がほどけないように一結びします。神崎は更に、ほつれ防止の為にグルーガンを使って固めておきました(グルーガン使うのが面白くなってきたから使わなくてもいいところにも使ったんだろうとかいう見方は禁止)。


 
 最後にバスケットの持ち手をリボンで装飾します。
 白くて太いリボンを、クッションを包んだリボンに対して十字になるように組み合わせ、持ち手に貼り付けてゆき、てっぺんで蝶結びにするというこれまた神崎にできるのか?というような作業。
 まず位置を決めます。
 バスケットの底にリボンを通し、持ち手にはわせてみて、丁度左右が同じ長さになるようにしたところで長さ決定。

 底、両端、持ち手、そしてリボンが再び出会うところ、と余すところなくまち針を打ちまくり(ほんっとにまち針大活躍)、底から丁寧にグルーガンでとめてゆきます。
 がんばれー、ここでしくじったら台無しだぞ私!
 両方がずれないように双方ちょっとずつ進んでいって、とうとう上までたどり着きました。
 真ん中3センチほど(だっけな)残してグルーガンはおしまい。

 あとは蝶結びにします。
 しかし、美しい蝶結びって難しいですね…。あんまりやり直すとせっかくアイロンかけたリボンがめためたになってしまうので、試行錯誤するわけにもいきません。
 結局ネットで「蝶結び」を検索し、結び方を学びました。私の限界的(=まあまあ)な出来。ほっ。そしてリボンの両端を「Σ」の形に切りそろえます。


  おおー、これで完成だ完成だーやったー!と思って写真まで撮ったのですが。
 …アレ?なんだこの残ったちっちゃい十字架二つは?
 説明書を良く読むと、最後の最後に「サイドに小さい十字架を左右に止めつけます」と書いてありました…。
 うおお、失念しておったよ…。っていうかその書き方、「頭痛が痛い」っぽくないですか…?
 とかツッコんでいる場合ではありません。既に夜半過ぎでしたが、ここまできて「明日やろーっと」というわけにはいかないのです。勢いって大事。
 どうせたいして時間もかからないんだし、というわけでちくちくと縫いつけました。
 今度こそ、完成です!!

 
 いやー、なんとかなるもんですね…。
 できあがったリングピローをありちゃんに渡したところ、喜んでもらえて何よりでした。
 きちんとラッピング(?)して持っていったのですが、開けた瞬間「あ、いい匂いがする!」と言ってくれたのも嬉しかったなあ。よくやった、リネンウォーター!
 まあそれとは別に、作業する前にたまたま香水を移し替えてたらうっかり指にこぼしてしまい、薔薇の香りがする指で作業していたってこともあるんでしょうけれども。
 リネンウォーターも香水もどっちにしろ薔薇だからいいか。


 さて、ここからは余談。
 リングピローが結婚式に必要なのは確かなのですが、その1ヶ月前に行われるリハーサルに必要かどうかは知りません。
 式場によっても違うのでしょうし、別になくても出来ると思います(まあ今回結果的に言うと、全然出番はなかったのですが)。
 それでも、どうしても間に合わせたかったのです。
 何故か。
 ありちゃんには「リハーサルの時と同じものがあると、本番そんなに緊張しなくてすむでしょ」とだけ言ったのですが(というか照れくさくてそれ以上は言えなかった)、ホントはもっと深い理由があるわけです。


 高校3年の時、私とありちゃんは同じクラスでした。
 うちの高校は9月半ばにある文化祭にあらん限りの情熱を注ぎ込む学校だったので、当然3年生の最後の文化祭となれば、人生における重要なイベントと言っても過言ではないくらい大事なものだったのです(事実、夏休みに文化祭の準備にかまけすぎたとか、文化祭が終わって気が抜けたせいで勉強に身が入らなかったという理由で、うちの高校は浪人者続出でありました)。
 だいたいクラス毎に劇をやるというのがうちの高校の伝統で、うちのクラスもやっぱり劇をやっていました。
 神崎は役者。ありちゃんは…なんだったんだろう。手元に詳しい資料がないので分かりませんが、おそらく演出だったのではないかと。
 どこのクラスも劇をやるので、当然体育館などでは出来ません。普通の教室を改造してビールケースで客席を作り、暗幕を張り、照明、音響はだいたいレンタル。電源が足りないのでどこのクラスも発電機まで借りていました。さらにうちのクラスはベニヤ板で二重天井まで作り、その中に照明器具を隠すという気合の入れよう。
 はっきり言って蒸し風呂です。役者はまだ舞台という比較的人が少ない空間にいられるのですが、お客さんはすし詰め状態。9月半ばに窓もドアも閉め切って暗幕を張り、びっちりと隙間なく詰め合った客席は思い出すだけでぶっ倒れそうです。
 そんな中、2日間で7回ほどやった公演でありちゃんはずーっと客席の一番隅に居てくれました。
 「音響に合図を出す」という仕事があるにはあったのですが、他の人でも出来たことなのに彼女はずーっと一番暑いその席に居てくれて、練習のときから何度も見たはずの芝居を見ていてくれました。
 細くて体もあまり丈夫ではない彼女にとってそれがどれだけ大変だったか、想像もつきません。
 でも毎回彼女がそこにいてくれたことで、役者のみんながどれだけ安心したことか。
 終わった後役者一同で、「いつもありちゃんがあそこにいてくれてたから、落ち着いてできたよねえ」「思ったよりあがらないで出来たよねえ」と口々に言い合っていました。
 その時のことが忘れられなかったわけです。
 恩返しする機会もないまま、もう何年も経ってしまいました。そして神崎がぼやぼやしている間に、ありちゃんはずっと私を支えてくれていました。
 だから、人生で一番晴れやかな舞台に立つ彼女の手助けが少しでも出来るように。あの時私たち役者一同がありちゃんを見て安心して演技できたように、私が作ったリングピローを見て少しでも安心していい笑顔が出来るように。
 私の大事な友達が、本当に本当に幸せになりますように!
 そう願って作りました。
 Happy marriage,ありちゃんいつまでもあなたによい風が吹きますように。  

 

 最後いい話で締めくくったところで、リングピロー格闘記おしまいです。
 神崎にも出来たのですからきっとどなたにも出来ますよ。これから花嫁になる方々、ファイト!

 

 (キット情報:spice of wedding RCK-29 リボンとクロスのリングバスケット)